06 笑顔を抱えて














「なぁ、不毛だろ?」







 諦めたらいいじゃねぇか。

 なのに。なんでアンタはそんなにも焦がれてんだ?





「それでも」






 困ったように笑う。そんな風に、笑うなよ、





「好きだから。止められないんだよ」

「悲しくないのかよ」

「悲しくはないよ。ただ、切ないだけ」






 下らない言葉遊びにはもう飽きた。








「俺様にしとけよ」







 先輩は驚いたように目を見開く。

 また困ったように笑った。











「ごめんね」










 そんな風に言われたら、もう何も言えない。

 明日になってもきっとアンタは笑ってんだろう。

 見つめてんだろうな。








 不毛だろ。

 どうして諦めないんだよ。









 その言葉が今、俺様の胸を酷く突いた。

 どんなに悲しくても、どんなに切なくても、

 きっと先輩は明日も笑ってる。

 胸一杯の、切なさを…想いを抱えて。














 笑顔を、

























クルルはドロロが好きで、ドロロはケロロが好きで。
そして、ケロロはただ笑ってるだけ。そんな想いなどなくて。
そんな想いなど、知らなくて。
不毛な恋。

051013