04 花が好き
あの人はいつも、花のように笑う。
ふわりと、揺れるように。
「花をね、持ってきたんだ」
此処は無機質過ぎるでしょう?
そう、はにかむように笑った。
「あ、花瓶がない!ちょっと待ってて、すぐに持ってくるから…」
「なんで…」
「え?」
「なんで、そんな風にしてくれるんスか?」
こんな自分に、優しさをくれるのは何故?
「それは…きっと…」
「きっと?」
はっ、と何かに気付いたようにドロロは顔を上げる。
「な、なんでもないよ!僕、花瓶を取りに行かなきゃ…」
「え、先輩?」
逃げるようにドロロはラボから出て行く。
「今…」
彼の頬が赤く染まっていたのは気の所為じゃない。
『きっと、クルルくんのことが好きだからだよ』
そんなこと、言えるわけがない。
頬の熱さを振り切るようにドロロは走っていた。
掻き乱される。想いが、こんなにも。
花に風が吹くように。揺れるように。
二人は恋に落ちました。
馴れ初めっぽく。
051013