03 冷たい指先
彼の指が僕の身体に触れる。
その指は冷たい筈なのに、触れられたところから身体が溶けていくようだ、と思う。
触れられただけで、身体がほてっていくから。
『愛しい』
気持ちは、いつだって止まらない。
ただ、加速を続けるだけ。
「先輩って体温高いっスよねェ」
「え?」
「ガキ体温ってやつ?くくっ」
「う、五月蠅いなぁ!!」
後ろからクルルから抱き付かれるかたちで、二人はぼんやりとテレビを見ていた。
「……クルルくんは低体温だよね…」
「平熱低いからなァ…」
「でも、こうやってやってる暖かいよ〜」
ふわりと、いつものように笑う。
抱き締める腕の力が、ほんの少しだけ、強くなった気がした。
「………アンタ、可愛すぎ…」
「え、何?」
「いや、なんでもないぜェ」
「変なクルルくん!」
――俺をおかしくしてるのは間違いなくアンタだよ
思ったって、言わない。
こんなにも簡単に舞い上がっている自分に、ほんの少しだけ嫌気がさしたから。
「あったかいね」
「そうかァ?」
「うん、あったかい…」
(ただ、その熱が心地よかったから)
(ただ、その冷たさが心地よかったから)
傍に、
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いつもに増して短い。
でもまぁ、こんな二人。
051017